健康づくり政策の実効性・実践性向上に向けた提⾔
エビデンスを活かした健康づくり政策研究会
⼀般社団法⼈グローバル政策研究機構(GRPI)
2026 年 3 ⽉
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エグゼクティブサマリー
⽇本の健康づくり政策は、健康増進法に基づく国⺠運動「健康⽇本 21」を中 核として、「全ての国⺠が健やかで⼼豊かに⽣活できる持続可能な社会の実現」 を⽬指す。「個⼈の⾏動と健康状態の改善」と、それを⽀える「社会環境の質の 向上」を⼀体的に進めるため、⽣活習慣や社会環境等に関する⽬標指標を体系的 に設定している。
これらの⽬標指標を精査すると、達成に向けたハードルが⾼すぎると考えら れるものや設定根拠が曖昧なもの、データでみた国⺠の⽣活実態に合致してい ないもの、性差や年齢に配慮がないものなどがみられる。個⼈の⾏動変容を⽀え るものとして「社会環境の質の向上」が位置付けられているものの、⽬標指標の 対象となっている政策分野は限定的であり、スポーツ分野や建築・住宅分野など、 健康増進に資する施策を健康づくり政策として再整理し得る余地がある。
⾼齢化が更に深刻化する中でウェルビーイングを向上させるためには、国⺠ の健康寿命の延伸と健康格差の縮⼩が⼀層重要となる。このため、健康づくり政 策を①健康習慣への矯正ではなく⽇々の⽣活習慣に寄り添い、②個⼈の事情に 応じた複数の選択肢を⽤意し、③⽇本社会の実情や⽂化的特性に適合させるこ とで、その実効性と実践性を⾼めるとともに、内閣の重要政策として位置付け、 政府⼀体となってこれに取り組む必要がある。
第⼀に、「個⼈の⾏動と健康状態の改善」に向けては、⽬標設定とメッセージ 設計を現実の⽣活実態に即して⾒直す必要がある。例えば、BMI の⽬標値は、 ⾼齢期における「やせ」や低栄養のリスクへの配慮を重視して⼀部を上⽅修正す べきである。野菜・果物摂取⽬標については、現⾏⽬標と実態の乖離が⼤きいこ とを踏まえ、国際標準も参照しつつ、両者の合計値を軸に再整理する必要がある。 飲酒については、飲酒頻度が毎⽇ではない層が多数であることを踏まえ、飲酒し ない⽇を織り込んだ「週当たり」の⽬標値を併⽤すべきである。喫煙については、 禁煙よりも受動喫煙対策に重点を置き、原因者に追加負担を課した上で分煙施 設の整備を強化すべきである。
第⼆に、「社会環境の質の向上」に向けて、こころの健康が悪化しないよう孤 独・孤⽴対策を強化するとともに、その悪化等による薬物等の依存症対策として は、恐怖訴求中⼼の啓発よりも、早期相談や治療アクセスの促進による重症化や 再乱⽤の防⽌を重視すべきである。健康づくりを個⼈の⾃⼰責任に帰するので はなく、健康に関⼼の薄い層を含めて「⾃然に健康になれる」環境を整備することを重点化するため、国・地⽅公共団体の既存施策を総点検し、健康増進に資す る取組を洗い出して健康づくり政策へと位置づけ直す必要がある。
第三に、健康づくり政策の基盤を強化するため、健康増進法の改正も視野に⼊ れながら、健康づくり政策を内閣を挙げて取り組む重要政策へと位置付け、司令 塔機能を内閣官房等に移管した上で、政府⼀体となって推進すべきである。その 際、地域の特⾊を踏まえた健康づくり施策の形成・推進に向けて住⺠参加型の政 策決定や地域における社会実験を推進するとともに、政策⽴案や⾒直しの基盤 となるエビデンスの蓄積が必ずしも⼗分ではないことにかんがみ、研究予算や ⼈材育成を強化することを通じてエビデンスの蓄積を強化すべきである。
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